
生活保護受給者が亡くなった後の残置処分|知っておきたい見落としポイント
生活保護受給者が亡くなった後、居室内に残された家財や私物(残置物)について、
「誰が片付けるのか」「費用はどこが負担するのか」と戸惑う方は非常に多くいらっしゃいます。
特に賃貸住宅の場合、親族・連帯保証人・大家・不動産管理会社など、
複数の関係者が関わるため、誤った判断をすると金銭的・法的トラブルに発展する恐れもあります。
本記事では、生活保護受給者が亡くなった後の残置処分について、
制度の仕組み、責任の所在、注意点、そして生前にできる対策までを、
実務と法律の両面から詳しく解説します。
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生活保護受給者が亡くなった場合の残置物処分の基本ルール
残置物処分は生活保護制度の補助対象外
生活保護は、受給者が亡くなった時点で自動的に停止されます。
そのため、死亡後に発生する遺品整理や家財処分、原状回復費用などは、
生活保護制度の扶助対象には含まれません。
「生活保護を受けていたのだから、行政が最後まで対応してくれるはず」
という誤解は非常に多いのですが、実際には制度上明確に線引きされています。
葬祭扶助によって火葬費用など最低限の対応は行われますが、
居室内の残置物については、別途責任の所在を整理する必要があります。
残置物処分の責任は優先順位で判断される
残置物は相続財産として扱われるため、
処分責任は次の優先順位で判断されるのが一般的です。
この順位を理解せずに処分を進めてしまうと、
「本来責任を負うべきではない人が費用を負担してしまう」
といった事態にもなりかねません。
自治体は調整役であり、処分主体ではない
自治体(福祉事務所・ケースワーカー)は、相続人調査や関係機関との連絡調整に協力してくれる場合はありますが、実際に遺品整理や撤去作業を行うことは基本的にありません。
あくまで行政は「制度の範囲内での支援と助言」を行う立場であり、
実務対応は民間で進める必要がある点を理解しておくことが重要です。
相続人・連帯保証人・大家が直面する実務上の注意点
相続人は相続放棄との関係に特に注意
相続人がいる場合、残置物は相続財産に含まれます。
そのため、遺品整理や処分を行うこと自体が、
相続を承認した行為(単純承認)と判断される可能性があります。
故人に借金や未払い債務がある場合、
安易に片付けを進めてしまうと相続放棄ができなくなるため、
必ず事前に専門家へ相談することが重要です。
連帯保証人は「契約内容の確認」が不可欠
連帯保証人は、家賃滞納や原状回復費用について責任を負うのが一般的ですが、
遺品整理費用については原則として負担義務はありません。
ただし、賃貸借契約書に
「残置物処分費用も保証範囲に含む」
といった特約がある場合は、その内容が優先されます。
大家は最終責任者になる可能性がある
相続人・連帯保証人がいない、または全員が相続放棄した場合、
物件の明け渡しを進めるため、大家が自己負担で処分を行うケースがあります。
場合によっては家庭裁判所で相続財産管理人を選任する必要があり、
時間・費用ともに大きな負担となることもあります。
トラブルを防ぐために重要な対応ポイント
死亡後は必ずケースワーカーに連絡する
死亡が判明したら、まず担当ケースワーカーへ連絡し、
今後の流れや注意点について指示を仰ぐことが基本です。
行政との情報共有を怠ると、
後から手続きが複雑化したり、不要な誤解を招くことがあります。
生前に行政へ相談しておくことが最大の予防策
可能であれば、生前の段階でケースワーカーに相談し、
将来の残置物や住居の扱いについて話し合っておくことが重要です。

生前相談によって、
- 不要な家財を減らす(生前整理)
- 死亡後の対応者を明確にする
- 処分に必要な費用感を把握する
といった準備が可能になります。
これは制度の抜け道ではなく、
残される人の負担を減らすための正当な行為です。
専門業者を活用し、実務負担を軽減する
遺品整理や残置物撤去は、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。
生活保護案件や相続対応の実績がある専門業者に依頼することで、
安全かつ円滑に作業を進めることができます。
業者選びでは必ず複数社から見積もりを取り、
作業内容・費用・追加料金の有無を確認しましょう。